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米国への進出準備を進める中で、候補地の見通しがついた後は、次のステップとして新規工場の仕様確定、並びに建設会社の選定を行う必要があります。
日米間に環境申請や交通システムに違いがあるように、建設分野でも数多くの違いがあります。
ここでは、アメリカにおける建設工法について説明します。
 
   米国の製造工場は鉄骨構造が一般的ですが、その中でも、以下の2工法が最も多く工場建設に採用され
   ています。
   
 コンベンショナル構造
   直訳すると在来工法になりますが、柱には角柱鋼、又は円柱鋼を使い、梁や母屋にはトラスを使います。
   また、屋根にはメタルデッキの上に硬質の外断熱材 + 防水シートを敷設するので、防水性、断熱性に非常
   に優れています。外壁はメタルサイディング(折板鋼板)が一般的です。プリエンジニア工法と比較すると、
   コストは若干割高になります。吊荷重が大きい場合や、屋根の貫通、開口部が比較的多い重厚な工場に
   適した工法です。
   また、コンベンショナル工法の場合、外壁にメタルサイディングではなく、コンクリートパネルを用いるティルト
   アップ工法も一般的です。日本にもPC(Precast Concrete)の外壁がありますが、ティルトアップ工法の場合、
   外壁として使われるコンクリートの壁を現場で打設します。この場合、先に土間スラブを打設し、床面を
   型枠として使います。塗装したコンクリートの外壁は見栄えも良く、工場の外観に気を使っている工業団地等
   では、ティルトアップ工法の採用を推奨、若しくは義務付けているところもあります。外壁がそのまま構造壁
   となっており、外周部に柱がないこともこの構造の特徴です。
   
 プリエンジニア構造
   柱にはH鋼、若しくはテーパー鋼を使い、梁は薄肉鋼の合成梁、母屋にはZ鋼を使います。屋根には内断熱材
   + メタルルーフを敷設します。防水シートを使うコンベンショナル工法と比較すると、防水性能では若干劣りま
   す。通常、プリエンジニア構造は、柱、屋根、壁等のパッケージものなので、建屋が複雑な形でなく、規格寸法
   に合った倉庫仕様に近い建屋であれば安価になります。
   
            コンベンショナル工法          ティルトアップ工法             プリエンジニア工法
   採用する工法によって建設コストも大きく変わるので、工場建設の際には、工場の機能、用途に適した建設
  工法を選択することが重要となります。 

